手袋の誕生と親しまれるまでの歴史

2021年10月20日

古来、手袋は暑さ寒さへの対策・摩擦などのダメージの軽減・手を防護することで病気から体を守るといった、実用目的で利用されてきました。

それが近年、キャンプ用の耐熱グローブ・食品取扱い用のラテックスグローブ・日焼け対策用の薄手の手袋など、多様な目的で使用されるようになりました。
特に大きな変化は実用性に加えてファッション性が重視されるようになった点です。
日本における手袋の歴史をひも解き、現代の手袋の重要性を再確認しましょう。

1.日本における手袋の歴史

日本の手袋の歴史は、鎌倉時代に武士が着用した篭手(こて)が始まりだと言われています。
現代の手袋に通じる西洋式の手袋は16世紀の中頃、ポルトガルより輸入されたものが起源になります。

時代が進み江戸時代、オランダから輸入されたメリヤス編みの手袋を武士が愛用します。
同時に手袋の内職が下級武士の間で行われるようになります。

ちなみにメリヤス編みは軍手をイメージするとよいでしょう。
メリヤス編みの手袋は丈夫で、裏表の区別が無いため日本軍の下士官が使用する手袋として利用されました。
「軍手」の名称の起源でもあります。

更に時代が進み明治時代、「両児舜礼」という僧侶が大阪でメリヤス手袋を縫製する仕事を立ち上げます。
あとを継いだ、いとこの棚次辰吉は故郷の香川県に戻り手袋工場を立ち上げます。
この工場が東かがわ市の手袋産業の起源となります。

この後、第一次世界対戦をきっかけとした特需や衰退などを繰り返しながら、東かがわ市は手袋の生産地としての地位を築いていくことになります。

2.ファッションアイテムとしての手袋

戦後、手袋に使用する材料の自由化が進んだことで、香川県の手袋業者はメリヤス編みの手袋に縛られず、革手袋・合皮手袋・ニット製品など、多様な製品を生み出していきます。

また、戦後は暖房器具が進化したことも手袋進化の追い風となります。
戦前は火鉢やこたつなど、宅内でも局所的に暖房する器具が一般的でしたが、戦後はストーブや暖炉など部屋全体を温める暖房器具が出現しました。

手袋に求められる機能は戦前の防寒・実用機能から装飾・ファッションアイテムへと役割が変化していきました。
一貫して手袋を作り続けてきた香川県東かがわ市の一帯は手袋の一大産地となり、日本製の手袋の多くを生産しています。

手袋というと防寒目的で北国が生産地というイメージがありますが、温暖な香川県が手袋の生産地となった背景には、実用性を重視するメリヤス編み手袋に由来する歴史があったのです。

3.拡大を続ける手袋市場

ファッション目的で手袋が生産されるようになってから、世界の手袋市場は年々拡大を続け、2017年に11,460百万ドル、2025年までに35,027百万ドルに達すると予想されています。

日常生活に手袋が溶け込むと、手袋に求められる機能も格段に増えることになりました。
この傾向は手袋の形や素材が様々な種類に分かれていることからもうかがえます。

例えば手袋の形は、5本指に分岐した最も一般的な「スタンダード」型のほか、指先部分がカットされた「フィンガーレス」、指を入れる部分が親指とその他4本の2か所に分かれた「ミトン」、ミトンの指先部分が着脱可能な「2WEYミトン」、腕を覆って保温・紫外線対策が可能な「アームウォーマー」など異なる形に分岐しています。

素材も同様で、革に限らずニット生地・ジャージ生地・フリース生地・スエード生地・ファー生地など、顧客の要望に合致する手袋が作られています。

形・素材に加えて近年では「用途」が異なる手袋も作られています。
例えば手袋を着用したままスマートフォンに触れる手袋、撥水・防水加工を施してアウトドアやスポーツ用に適した手袋も生産されています。

コロナウイルス対策が重要になってきている昨今、抗菌機能が付与された手袋へのニーズも高まっています。
国内ではコロナに起因して、衛生意識が高まり手袋の重要性が再認識されています。
国外では日本と同様の傾向に加え、発展途上国では生活水準の向上により手袋を含めたファッションアイテムへの需要が増加することが考えられます。

これからも手袋の需要は増加し続け、歴史は拓かれていくでしょう。

4.まとめ

寒さ対策と手指のダメージ軽減から始まる手袋の歴史は、実用性から装飾目的へとシフトしてきたことを確認しました。
ファッションアイテムとして手袋が認識されてから、手袋の形・手袋に使用される素材は多様化し、市場規模は年々増加の一途を辿ります。

常に新しいニーズにさらされつづけますが、潮流に上手に乗ることで今後も手袋産業の市場は拡大していくでしょう。
手袋に対する新たなニーズがあればそれを形にするお手伝いをします。そのときは株式会社クロダにご連絡下さい。

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